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タグミスマッチをリセットする

その競合設定、間違ってない?

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あなたの会社・商品サービスの顧客は、誰でしょう?

これ、真剣にビジネスしてる方であれば、質問の見かけよりも、はるかに奥深い質問に感じると思います。

参照記事→【来ている顧客は、正しいか?

 

顧客の設定が正しい場合は、その顧客は、あなたの会社の収益性が高まるサイクルにマッチしているから、正しい顧客以外にはわき目もくれずに、正しい顧客に集中しまくるべきだし、ビジネス・コンセプトに合わない顧客に対する施策は、ゼロにリセットしていくことができます。

もし、来ている顧客が間違ってる場合、おうおうにして、競合設定も間違ってるはずです。

 

今日、たまたまリサーチをしている時に、レシピ動画サービス『クラシル』の堀江社長の日経キャリアフォーラムのインタビューに遭遇しました。→こちら

『クラシル』は、2014年に堀江社長がSFC(慶應義塾大学総合政策学科)在学中の21歳の時に創業しました。2017年8月には、レシピ動画数世界一を達成。2018年1月には新たに33億5000万円の資金調達を発表し、これまでに累計70億を調達。それを武器に、20代で1000億企業を目指したところから逆算して、日々事業を拡大させています。

 

 

しかし、この『クラシル』が、起業時にフードデリバリー事業からスタートしたのは、スタートアップをまめにチェックしている方はご存知かもしれませんが、他業界の方はあまり知らないかもしれせん。

ところが、その事業は失敗に終わりました。上のインタビュー記事をクリックしていただくと出てくる「失敗の原因」について語ってる内容が、非常に参考になります。

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  • 「競合を見誤った。本当に戦うべき相手は、同業他社ではなく、コンビニエンスストアだった。」

  • 「渋谷エリアは、数分歩けば、コンビニエンスストアに出くわす環境。利用者にとって500円は非常に重かった。」

 

これも、聞けば簡単な話に感じますが、競合を見誤ることは、もっともよく起こる事業設計ミスではないでしょうか。

たとえば、マクドナルドの競合は、ファーストフードの同業であるファーストキッチンやロッテリアでしょうか?それとも、コンビニエンスストアのおにぎりやサンドウィッチでしょうか?

競合は、誰か?

見かけ通りの問いかけより遥かに深淵で、事業をしている当事者からは、気づくことがいかに難しいか。堀江社長が手痛い失敗を経てはじめて気づかれたことで分かります。しかし、問題は「競合を見誤る」ことではなく、「競合を見誤る」事実に「気づけない」という状態ではないでしょうか?

 

 

競合を見誤るから、競争が激しくなります。競合を見誤らないこと。

Paypal創業者であり、シリコンバレーでもっとも大きい影響力を持つ投資家のピーター・ティールが言う「誰もが気づいていない、価値ある企業とはどんな企業だろう?」ということは、実は競合を見誤らないことから見いだせるはずです。

  • 「競争が激しい市場では、収益が消失する」

  • 「航空会社はお互いがライバルだから、完全競争。完全競争下では、長期的に利益を出す企業は存在しない」

  • 「Googleには、そうした相手がいない。完全競争の反対の独占だ。完全競争下の企業が市場価格を強いられる一方で、独占企業は市場を支配してるために価格を設定できる。競争がないので、独占企業は、生産量と価格を調整して利益の最大化を図る。」

– – 『ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか』ピーター・ティール著 より抜粋

 

全く同じことを、『クラシル』の堀江社長も、言ってました。こちら

 

事業規模がマッシブで、顧客数が多くても、収益が上がらない企業はたくさんあります。ピーター・ティールに言う航空会社がそれですね。反対に、そうでなくても、利益として計上できる企業もあります。たとえば、(たとえが大きいですが)Googleです。

  • 「アメリカの航空会社は、数百万の乗客を運び、金額にすると毎年数千億ドルもの価値を創造している。2012年には、平均の片道運賃178ドルのうち、航空会社の取り分は、わずか37セントだった。

  • Googleの創造する価値はそれより少ないけれども、自社の取り分は遥かに多い。2012年、Googleは500億を売りあげ(航空会社は1600億ドルを売り上げている)、その21パーセントを利益として計上している。それは、同じ年に航空会社が売り上げた利益率の100倍以上にもなる。

– – 『ゼロ・トゥ・ワン 君はゼロから何を生み出せるか』ピーター・ティール著 より抜粋

 

スケールが違えば課題も変わりますが、利益を最大化させるロジックは同じです。しかし、それが気づきにくい…。

参照→【中からだと、収益性が上がるロジックに気づけない

 

 

KAFUNは、あなたの会社の中からだと気づきにくい収益性が上がるロジックを明確にします。「強み」(=収益性があがる転換点)からブランドを確立するお手伝いをします。機会損失したり他社と比較されることなく選ばれる収益性の高いブランドをつくる後方支援です。

予測と実態を完全一致させ、収益性を高めるロジック転換をおこなうスポットのプロジェクトから、承ります。

 

梅澤さやか
株式会社KAFUN代表取締役


 

国家外交の最前線では、どのように賓客を「もてなす」体験設計をしているのか?- 迎賓館 和風別館 –

 

スライドショーには JavaScript が必要です。

 

先日、猛暑36度の中、決行された月1の庭めぐりの会で、迎賓館 赤坂離宮の「和風別館」に伺いました。こういうところをじっくり巡れるのは、うれしいものです。

建築は、谷口吉郎。NYのMoMAGINZA SIXを手掛けた谷口 吉生のお父さんです。残念ながら、内部は写真撮影不可で、写真がありません。

特に、海外からの賓客を迎える際に、赤坂見付に近い東門から入って、そのままこの和風別館に切れ目なくすーっと入れる導線が、気持ち良い。

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東門は、道路の外から見ることができます。

内外が連続するなめらかな体験設計が際立ってるのです。

たとえば、門から別館の扉までのアプローチが、中庭的つなぎになっており、その中に組み込まれつつ、要所に、季節を感じる盆栽を置かれた時の印象が計算されつくされてる点。

中に入ってからは、メインの和室広間から外をみやると、池が「縁」になって、庭の空間がさーっと平面的にひらける感覚になる。そして、庭の丘や道のすべてにふくよかなリズムがあり落ち着く点。

そして、体験しないとわからない素晴らしい点。選り抜きの素材が醸すアンビエンスです。重くも軽くもないニュートラルな空気密度。丁寧に磨き込まれながら、くつろげる空気感。美しかったです。じわじわ、うっとりしました。

顧客体験設計の参考になります。メディアやリアル店舗における体験のみならず、商品サービス全体における顧客体験価値を考える方は、予約して見る価値ありです。

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面白かったこと。

当たり前ではあるのですが、和風別館は靴を脱ぐようにできています。中は絨毯なのですが、ここにスリッパも履かずに入るのがデフォルトの日本文化の設定。昔は足袋だったんだもんね。

ところが、海外の来賓にとっては、靴を脱ぐ姿は見せてはならぬもの。前回トランプ米大統領が来た際は、靴を脱ぐところは写真撮影しないように。というお達しで、ガードが見えないように守り、それからスリッパに履き替えたそうです。

エリザベス女王の時も同じく、事前調査団がリサーチした時に、そこだけ唯一「どうしよう」ということになり、「検討します」と持ち帰ったとか。結果、エリザベス女王の足型が送られて来て、それを参考に西陣織のスリッパをお作りしたそうです。女王ももちろん、靴を脱ぐ姿はお隠しになって、履き替えられたそうです。

この「文脈の違い」を多様性として理解しながら、互いの接点を創造するのが現代のコミュニケーションデザインに求められてることだと思いました。この和風別館で興味深かったのが、日本建築がベースだけど、超多忙な賓客の接遇高機能を求められてるため、違う文化の訪問者がギャップを感じすぎることなく、その人自身でいられる想定がフレキシブルにできてることです。

いちばん奥にあって、会食を終えた後に賓客が急いで移動してくつろぐのが茶室も、来客に慣れない正座を強要するのではなく、椅子に座って外からお茶を劇場のようにみるようになっていました。

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最後に、個人的に感じた課題です。

こんなに滑らかにコンセプトと体験設計がされていながら、ところどころ、何故?が見えない思いつきのコメントを当時の首相が入れていることで変更がされてるんですよね。

たとえば、トランプ米大統領と安倍首相の有名な鯉の餌やりの場所。鯉もかつての首相の意見でいれられたそうです。しかし、そもそも、谷口は手前の水の鏡面効果を狙っていたし、これはとてもミニマルな美しさがあったはず。だから、水は浅くはられていた。これに「なぜ鯉がいない?」と鶴の一声で、鯉が入れられたそうです。(そして、最初は水が浅かったので、約50匹死んでしまったとか。)

鏡面効果は、部屋の中からだといまだにありますが、全体で効果がうすれるのは確か。一方、鯉は、鯉へのえさやりも含め、海外の賓客がよろこぶし、会話にもなるのも確か。

首相がどれだけ設計の意図・効果・実益を考えて発言するかとは限らないし、こういった意見があった時、運営側が真に受けて受け止めて取り入れる体制はブランンディングやる人間として、考えさせられます。

どんなに丁寧に対応したとしても「言われたことへの部分反応」に終わると、ミスマッチが大きくなっていってしまって、せっかくの一貫した接遇ロジック(相互利益になる接遇)と流れが失われるから、コメントについて、ちゃんとディスカッションする基準と仕組みがつくれることが大事だと感じました。企業でも同じですね。

関連→ミスマッチが、起きている。

受け継いできた文化をしがらみにすることなく、本質を受け継ぎ、そこから新たにしていく。これからの日本にも、企業にも大事なことに思います。

※ ネオバロック様式の本館も、見学してきました。ヴェルサイユやルーヴルに比べると恐ろしいほど軽やかです。日本的ネオバロックと感じました。「謁見の間」である朝日の間は、公開されてませんでした。残念!

 

梅澤さやか
株式会社KAFUN代表取締役